日本は、山地が多くその地形から自然災害が多い国と言われています。そのため、自然の恵みが多くある一方で
自然の厳しさもあり、日本人は様々な工夫をしながら自然とともに生きてきました。
現在、世界の活火山の7%が日本にあるといわれ、24時間体制で監視を続けている火山が50山ほどあります。
支笏湖を取り囲む風不死岳、恵庭岳、樽前山も活火山のひとつに選定されており、過去に噴火を繰り返しながら
成長してきました。
普段、何気なく目にする山々ですが、その活動の実際はどのようなものなのでしょうか。
支笏湖を取り囲む山々~風不死岳、樽前山、恵庭岳
風不死岳…標高1102.5m 近隣にある樽前山・恵庭岳より古く、アイヌ語で「トドマツのあるところ」
という意味の「フプシ」からその名がつきました。円錐の形をしており、狭く深い谷がいくつか形成
されているのが特徴で、その一つに苔の洞門があります。
樽前山…標高1041m 樽前山は、三重式火山と呼ばれる特殊な構造をしています。
過去に何度も火山爆発が繰り返され、ドーム型の形をしているのが特徴です。
また、山頂一帯には多くの高山植物が自生しており、訪れる登山者の目を楽しませてくれています。
高低差が少なく、登山初心者にも登りやすい山として人気のある山の一つです。
山頂付近の火口では現在も火山ガスが噴出しているため、立入禁止となっていますが、間近に眺める
噴煙は圧巻です。
恵庭岳…標高1320m 恵庭岳は、支笏湖周辺では最も標高が高い山です。
円錐型の形をしていることから、アイヌ語の「エエンイワ(頭が尖っている山)」から
「エニワ」と名前を変えていったことが由来となっています。
その山頂には岩塔が立っており、現在はその崩壊が見られるため立入禁止の場所があります。
現在も噴煙が立ち昇り、火山活動が盛んな山として活火山に選定されています。
活火山とは
活火山とは、過去1万年以内に噴火をしたことがある山のことで、現在も盛んに噴火活動が
行われている山のことを指します。
北海道には、北方領土も含めると現在31の活火山があります。
そのなかでも、特に活動が盛んな山としては、
十勝岳、有珠山、樽前山、北海道駒ヶ岳があり、またその他に知床硫黄山、羅臼岳、雌阿寒岳、
恵山、渡島大島、羊蹄山、ニセコ、大雪山なども活火山として挙げられます。
噴火の歴史~樽前山の噴火による被害
現在も活動を続けている風不死岳、恵庭岳、樽前山は活火山に選定されています。
そのなかでも樽前山は、過去に何度も噴火を繰り返しており、周囲への被害も大きかったようです。
樽前山は、約3000年前に噴火があり、それから1667年、1739年と大噴火を繰り返し、1909年の大噴火
により現在の溶岩ドームが作られました。
また、現在も噴煙が立ち昇り、小規模な噴火は繰り返されているため、噴石の落下や有害な火山ガスの
発生には注意が必要です。
過去に発生した噴火としては、1739年の大規模な噴火があります。
大噴火発生の数日前には地震があり、その後10日間ほど噴火が続きました。上空10000メートル以上の
噴煙が立ち昇り、2~3日その灰が降り続いたとのことです。昼間は夜のように暗くなり、その後、大量の
軽石や高温の火砕流が山の麓に流れ落ちました。千歳空港付近で約1m、大雪山で数cm降灰があり
4回の火砕流が支笏湖に流入しました。
現在も小規模な噴火は続いているため、少量の火山灰が降る場合がありますが、市街地への被害はなく
このような大規模な噴火が起こる可能性は低いと考えられています。
まとめ
風不死岳、恵庭岳、樽前山は現在も活動を続ける活火山であり、過去に噴火を繰り返しながら、
現在の火山が形成されました。噴火を予測することは難しく、予測できたとしても噴火するまでに避難が
間に合わないことも想定されますが、その活動を見守り、あらかじめその危険と対策を知っておくことは、
大事なことではないでしょうか。
また、噴火の前兆としては地震や地形の変化など、様々な異常が現れることがありますが、そのすべてが
噴火につながるものであるかは分からないので、注意深く状況を見守る必要があります。