写真 : 支笏湖のダイビングスポット「太古の森」の流木
今回は支笏湖に生息するウチダザリガニについて紹介します。ウチダザリガニは環境省から「特定外来生物」に指定されています。さらに日本の侵略的外来種ワースト100にも選定されています。
ウチダザリガニは、2000年代に国内の40市町村で生息が確認されていてニホンザリガニや他の在来種への影響が懸念されています。支笏湖では2005年に初めて確認されました。
記事の内容は「ウチダザリガニについて」「特定外来生物について」「支笏湖とウチダザリガニ」「ウチダザリガニのまとめ」に分けて紹介します。環境問題や生物の生態系に興味のある方には必見の内容です。
ウチダザリガニを他のザリガニやアメリカザリガニと勘違いして家で飼っていると外来生物法違反になる危険性があります。支笏湖近郊にお住いの方や観光で訪れる予定のある方は事前に確認しましょう。
ウチダザリガニについて
ウチダザリガニは、エビ目(十脚目)・ザリガニ下目・ザリガニ科に分類される北米大陸原産の甲殻類の淡水ザリガニの一種で、標準和名はウチダザリガニになります。
英語名はSignal crayfish(シグナル・クレイフィッシュ)になります。
体長は15cm程度になり、ニホンザリガニやアメリカザリガニと比較してやや大型です。頭胸部前端が3本の棘状になっている他、第一胸脚(はさみ)の可動肢によく目立つ白い斑点があるのが外部形態上最大の特徴です。
ただ、成体では見分けやすいこれらの特徴が若齢幼体ではやや不明瞭です。体色は緑褐色の個体がよく見られるが生息環境によって異なり、緑褐色、青褐色など様々です。
分布域はアメリカ合衆国北西部(コロンビア川水域とミズーリ川源流部)、カナダ南西部ブリティッシュコロンビア州、ヨーロッパ各国や日本国内にも移入分布しています。
生息環境は冷水性の湖畔や河川に生息しています。低水温は-33度まで、高水温も30度で1週間耐えることができます。耐塩性も備えていて、原産地の一つコロンビア川では汽水域での生息が確認されています。
このためウチダザリガニは冷水を好むといっても渓流魚並に高温に脆弱なわけではなく、つながっている水域を伝って自力で分布拡大する能力が高いとみられています。
北アメリカやヨーロッパでは食材として漁獲や養殖がおこなわれ、高級食材であるヨーロッパザリガニの代用とされています。日本では「レイクロブスター」の商品名で地方に出荷されています。
特定外来生物について
ウチダザリガニは日本には天然分布していない外来種です。環境省が指定する特定外来生物になります。北海道では、在来種のニホンザリガニのほか、特定外来生物のウチダザリガニとアメリカザリガニの生息が確認されています。
外来生物法に基づく特定外来生物は、無許可での飼育や遺棄、譲渡、輸入、保管や運搬することは禁止されています。
ただし、アメリカザリガニは一部の規制が適用されない条件付特定外来生物であり、飼育、保管、運搬することなどは禁止されていません。(販売や野外への放出などは他の特定外来生物と同様に禁止されています。)
ウチダザリガニを他のザリガニやアメリカザリガニと勘違いして家で飼っていると外来生物法違反になり、個人の場合は懲役3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金が科される可能性があります。
支笏湖とウチダザリガニ
ウチダザリガニは国内で2000年代に北海道(支笏湖・洞爺湖・摩周湖・阿寒湖・屈斜路湖)、福島県(小野川湖、桧原湖、秋元湖)、長野県、滋賀県(淡海湖)、千葉県(利根川水系)、福井県(九頭竜湖)で生息が確認されています。
支笏湖では2005年に初めて確認されました。翌年には環境省と地元ダイバーによる調査が始まりました。抱卵個体や幼少個体が次々に発見され、支笏湖での繁殖が確認されました。
北海道には在来種のニホンザリガニがいます。ニホンザリガニはウチダザリガニと比べると小柄です。ウチダザリガニがニホンザリガニの生息地を奪ったり、攻撃してしまう場合もあります。
ウチダザリガニは繁殖力も強く、ニホンザリガニの数十倍ともいわれています。強くて繁殖力もあればあっという間に生息数も生息地域も拡大していく可能性があります。
ウチダザリガニのまとめ
今回は支笏湖に生息するウチダザリガニについて紹介しました。ウチダザリガニは環境省から「特定外来生物」に指定されています。さらに日本の侵略的外来種ワースト100にも選定されています。
ウチダザリガニは、エビ目(十脚目)・ザリガニ下目・ザリガニ科に分類される北米大陸原産の甲殻類の淡水ザリガニの一種で、標準和名はウチダザリガニになります。
体長は15cm程度になり、ニホンザリガニやアメリカザリガニと比較してやや大型です。頭胸部前端が3本の棘状になっている他、第一胸脚(はさみ)の可動肢によく目立つ白い斑点があるのが外部形態上最大の特徴です。
ウチダザリガニは日本には天然分布していない外来種です。北海道では、在来種のニホンザリガニのほか、特定外来生物のウチダザリガニとアメリカザリガニの生息が確認されています。
外来生物法に基づく特定外来生物は、無許可での飼育や遺棄、譲渡、輸入、保管や運搬することは禁止されています。
支笏湖では2005年に初めて確認されました。翌年には環境省と地元ダイバーによる調査が始まりました。抱卵個体や幼少個体が次々に発見され、支笏湖での繁殖が確認されました。